コロナ・新型コロナウイルスについて 予防を中心に
<コロナウイルス、新型コロナウイルスとは>
コロナウイルスは気道感染をおこすウイルスの一つで、ライノウイルスなどとともによくみられるものの一つです。コロナウイルスは毎年小さな変異をするため、反復感染が生じることがわかっています。乳幼児期から成人まで反復して感染し、冬から春の季節に流行することが多いです。今回の新型コロナウイルスは特に高齢者や基礎疾患を有している方の中に重篤化・死亡する可能性があり、さらに今後人から人に感染する過程で、ウイルスの病原性や感染力が変化する可能性は否定できないため、国及び世界的にその対策が必要とされています。
<特徴>
潜伏期間:コロナ、新型コロナともに5日間前後ですが、1日から12日までの幅があるようです。
感染経路:原則として咳やくしゃみによる飛沫感染です。これはウイルスが咳などで排出する微細な飛沫痰に付着し、飛沫ごと吸い込むことで感染に至るものです。その他、鼻汁などが手指に付着しての接触による接触感染も多いようです。飛沫が乾燥し飛沫核といわれるものとなり空気中を浮遊することで感染するリスクはあります。その場合は、換気の少ない密閉された空間という条件で成立しやすいようです。
症状:咳・くしゃみや鼻汁・鼻閉、咽頭痛、時に発熱を伴ういわゆるかぜという症状です。気道だけでなく消化管に感染することもあり、その際には下痢の症状が出現することがあります。ほとんどが、時間経過のなかで徐々に回復に向かいますが、時には肺炎、呼吸困難、気管支喘息発作や中耳炎を合併することがあります。
<受診の目安>
症状が出現する初期は通常の感冒と変わりがありません。現時点では、コロナウイルスの検査は限られた方を対象におこなわれています。コロナウイルス患者との接触歴や海外渡航歴、急速に進行・悪化する呼吸器症状などです。これらの条件が満たされる場合は専用電話窓口で相談し専門外来受診が必要です。感冒症状のみの場合は、近隣のクリニック・病院をまず受診することをおすすめします。
経過中に注意しておくべき症状は以下に挙げる点などです。
呼吸の異常、顔色の異常、脱水症状、けいれん、意識障害など
<治療>
治療は、安静・水分補給・適切な食事・咳嗽鼻汁などの症状を緩和する内服薬が基本です。抗ウイルス薬は現時点では存在しません。多くは、軽症で軽快するようですが、一部で重篤な肺炎・呼吸障害に至り、人工呼吸管理が必要になるようです。まずは、自宅にて基本的な治療をおこなうとともに慎重に経過観察をおこない、病状が急速に変化する場合は迅速に入院治療をおこなうことになります。現時点で高齢者や基礎疾患がある方が悪化しやすいとの情報がありますが、小児においては十分な情報の蓄積・解析がなされているわけではないので、油断せず経過観察をおこなう必要があると思われます。
<予防>
・赤ちゃんや高齢者、基礎疾患をお持ちの家族がいらっしゃるご家庭ではご家族皆さんで積極的に予防に努めることが大切です。
・推奨される予防方法がいくつかありますが、いずれも100%というものはありません。しかし、そのリスクをさげ、侵入するウイルス量を減らすことにより軽症で済む可能性があるため、可能な限り複合的積極的に予防することをおすすめします。
・人混みを避け、外出時には可能な限り使い捨てマスクを着用し手洗い、うがいをしましょう。
・人混みがどの程度かですが、飛沫感染の場合は2mの間隔をとることが推奨されています。屋内で換気が悪く、人と人の間隔が狭い状況は避ける方が望ましいですし、屋外で人と人の間隔が広ければリスクが低いといえます。
・マスクは自分から他者への飛沫感染を防ぐとともに、他者から自分への飛沫感染を防ぐ効果があります。また、鼻腔口腔内の湿度を保つことで粘膜における感染防御機能を維持することが期待されます。マスクは正しく使用することが大切です。鼻と口の両方を覆うようにかけマスクの形状を調整しマスクの横の隙間が少なくなるようにしましょう。アルコールもしくは次亜塩素酸ナトリウムを十分量噴霧するか手洗い洗濯などにより再利用は可能です。ただし、いずれもすぐに使用せず十分に乾燥したうえで使用しましょう。
・手洗いは、ウイルスが含まれる鼻汁などで汚染された手でたべものを食べたり目をこするなどして感染してしまうことを予防します。石けんを十分に泡立ててしわの溝や爪の間もしっかり洗浄しましょう。アルコールの手指洗浄も有効とされますが、どちらかをおこなえば大丈夫です。
・手指の高頻度接触表面(ドアノブ、手すりなど)は感染源になるため定期的な消毒が必要です。コロナウイルスにおいては、アルコール(消毒用エタノール)、次亜塩素酸ナトリウムが推奨されています。アルコールは揮発性が高く乾きやすいため使用しやすいと思われますが、現在入手困難な状況であることが難です。次亜塩素酸ナトリウムは、キッチンハイターやハイター、ミルトンなどから作成することができるので、アルコールがない場合は利用しましょう。濃度は有効性に影響するため(0.05-0.1%推奨)作成にあたり配合量は間違えないようにしましょう(作成方法のネット情報は多いので確認して下さい)。注意点は、金属に対する腐食性があること、素材により色落ちする可能性があること、アルコールより乾きにくいこと、皮膚刺激性があるために皮膚が弱い方は手袋を用いて扱う必要があることです。
・うがいについては賛否両論があります。ウイルスが粘膜に付着後15分くらいで侵入するため有効性に限りがあるとの意見です。うがい薬としてはイソジンガーグルがウイルスに有効ですが、水道水でも十分という報告があり、頻回にうがいする場合はイソジンうがいを人混みに入った後のみに限定することもありかもしれません。
サウスウッドこどもクリニック
院長 栗屋敬之
2020年3月25日